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こんにちは、Gadget EspritのHACHIYAです。今回は本業まわりの話を。

「下水道の仕事ってきついの?」と検索してこられた方に向けて、実際に下水道維持管理業で働いていた私の経験から書いていきます。求人票にも会社説明会にも出てこない部分まで、数字を交えて書くつもりです。

この記事が扱う範囲

ひとくちに「下水道の仕事」といっても、管路の維持管理、処理場の運転、下水道工事、自治体職員、コンサルタントなど幅があります。この記事の中心は「民間企業での下水道管路の維持管理」と、そこでの営業・施工管理の兼務経験です。処理場勤務や公務員の話ではありません。

また、書いている数字はすべて当時の私の勤務先での話です。会社・地域・時期によって事情は大きく変わりますので、ひとつの参考として読んでいただければ幸いです。

【結論】きつい面は確かにある。でも”それだけ”ではない

先に結論からお伝えします。すべて当時の勤務先での経験です。

  • きつい面は確かにあります。 24時間365日の緊急対応、営業と施工管理の一人兼務
  • 制度上の年間休日は120日ありました。 ただし終わらない業務処理や休日出勤が重なり、実際に休めたのは年60〜65日ほど
  • 年収は額面で400万円台からスタートして、最後は600万円ほど
  • 資格がそのまま価値になる業界。取るほど配置できる立場が増えます
  • 向いているのはチームで動けて、体力と気持ちの強さがある人
  • 人手不足で需要は増えています

【そもそも】下水道維持管理の仕事とは

下水道の維持管理とは、ざっくり言うと「街の地下に張り巡らされた下水管や施設が、詰まったり壊れたりしないように点検・清掃・修繕する仕事」です。私たちが毎日使った水が問題なく流れていくのは、こうした維持管理があってこそ、なんですね。

主な客先は官公庁(自治体など)です。管路の清掃・調査(カメラ調査など)、マンホールや処理施設の点検、緊急時の対応などを行います。

公共下水道と排水設備の境界。宅地内は個人、道路から先は市が維持管理します。

私が在籍していたのは少人数の会社で、営業(見積もり・積算・入札)から現場の施工管理(現場代理人・主任技術者)まで、ほぼ一人で兼務している状態でした。

【1日の流れ】朝8時出社、帰りは18〜22時

まず時間の話から。以下は当時の勤務先での話です。

  • 営業の朝は8時出社。 現場作業の日は、移動時間のぶん早く出社します(早出手当は付きました)
  • 帰りは18〜22時頃。 その日の状況次第です
  • 繁忙期は休みがなくなります😥

年間休日は「制度上120日、実際は60〜65日ほど」

ここは誤解のないように書いておきます。会社の制度としての年間休日は120日ありました。 求人票に載る数字としては、決して悪くありません。

ただ休日出勤が重なった結果、実際に休めたのは年60〜65日ほどでした。緊急対応や工期の都合で、カレンダーどおりに休めない月が続くんですね。

転職を考えている方へ:見るべきは「制度」より「実態」

年間休日の数字だけを見ても、この業界の働き方は分かりません。面接では「昨年度、実際に取得できた休日は何日くらいか」「休日出勤の振替は取れているか」まで聞いておくことをおすすめします。制度と運用は別物です。

現場と事務所の割合

  • 工事部なら 現場9:事務所1
  • 営業なら 外回り7:事務所3

私は両方を兼務していたので、日中は現場で施工管理、空いた時間で見積もりや入札の積算……と、頭の切り替えが大変でした。

繁忙期と閑散期がはっきりある

市町村との契約は年度区切りなので、仕事の波がはっきりしています。

  • 閑散期:4〜6月頃(年度初め)
  • 繁忙期:10〜2月頃

転職を考えている方は、面接や引き継ぎの時期をこの波に合わせると話が進めやすいと思います。

【現場の実際】何をどうやっているのか

管路清掃|ケルヒャーとは水圧の桁が違う

管路清掃では、水タンクと高圧洗浄機を搭載した車両を使います。

「高圧洗浄」と聞くとご家庭のケルヒャーをイメージされるかもしれませんが、水圧が全く違います。 圧力を超高圧まで上げられる車両だと、コンクリートを砕けるレベルまで上がります。だから新人が簡単に触れる機械ではありません。

⚠️ 実際に起きている事故

水圧を上げすぎて安全靴を貫通してしまい大怪我になった事故があります。機材にも負担がかかるので、ホースが破裂することもあります。正しい使用方法を守ることが本当に大事な仕事です。

カメラ調査|私がいた当時、現場の主役は自走式カメラだった

公共下水道の本管調査には、自走式の調査用カメラを積んだテレビカメラ車を使います。

テレビカメラ調査のイメージ。車内のモニターで管内の映像を確認しながら進めます。

テレビで下水道の点検にドローンが使われる話も出てきますが、私が担当していた現場では、まだ一般的な手法ではありませんでした。 理由として現場で言われていたのは次の3つです。

  • 電波が届きにくい(地下なので当然といえば当然です)
  • 管内の気流が乱れている
  • 害虫がいる

ただし技術は動いています。国土交通省の下水道DX技術カタログには管路内のドローン調査技術が掲載されており、人が進入しにくい狭い空間や、硫化水素が滞留する現場での活用が想定されています。「使えない技術」ではなく「これから普及していく技術」と捉えるのが、2026年時点では正確だと思います。

管内目視調査|人が実際に管の中を歩く

意外に思われるかもしれませんが、人が管の中に入って調べる作業があります。これを「目視(もくし)」と呼びます。

まず必ず安全確認から。 ガス検知器で酸素濃度・硫化水素・一酸化炭素などを計測し、安全を確認してから入孔(にゅうこう)の準備をします。※測定できる項目は機種や現場の条件によって変わります。ここを飛ばすことは絶対にありません。

潜行目視調査のイメージ。送風機で空気を送り、地上には必ず監視人が付きます。

φ800の管は、大人が入るには本当に狭い

目視調査の対象になるのは直径800mm(φ800)以上の管から。ただφ800というのは、大人が入るにはかなり狭いサイズです。中腰歩き、ほとんど匍匐前進に近い姿勢で進みます。

しかも排水は流れたまま調査に入ります。 止めてはくれません。

下水道は基本が自然流下なので、下流にいくほど管は深くなります。当時の現場では、地上のマンホールから20〜30m降りて作業することも珍しくありませんでした。

では大きい管なら楽なのかというと、そうでもありません。φ2000以上になると立って歩けるようになりますが、そこまで大きいのは上流からたくさんの排水が流れ込んでくるからで、水量と流速が速く、流される心配が出てきます。

【いちばん大変だった現場】河川の下を横断する「伏越し」

大変だった現場はいくつもありますが、ひとつ挙げるなら伏越し(ふせこし)の清掃です。

河川を横断する箇所では、川の下をくぐらせて下水道管を通す構造にすることがよくあります。正式には「伏越し」、現場では「逆サイフォン」「サイフォン」と呼ぶことも多い部分です。

汚水はサイフォンの原理で向こう岸へ押し上げられていくのですが、一部の汚物が底に堆積してしまうんですね😥

堆積すれば清掃することになります。そして管の大きさによっては、作業員が中に入って作業することになります。

この環境が非常に危険で、硫化水素の発生原因にもなります。そして何より臭いがすごい。

同僚が「この世の終わり」と例えていましたが、まぁわからなくもないです(笑)

【お金の話】年収400万円台から600万円ほど

いちばん気になるところだと思うので、書けるところまで書きます。すべて当時の勤務先での、額面の話です。

  • 年収は最初400万円台 → 最後は600万円ほど
  • 立場は営業と施工管理の兼務(現場代理人・主任技術者)
  • 営業には残業代という形での支給はなく、当時の勤務先では残業込みの「営業手当」という扱いでした
  • 資格手当は資格の種類ごとに金額が決まっていました

※これは当時の私の勤務先での扱いです。会社の規模・地域・給与制度によって大きく変わりますので、求人を見るときは必ず内訳(基本給・手当・賞与)を確認してください。

資格手当は「配置できるかどうか」で決まる

資格手当のなかでも、土木施工管理技士はとくに価値がありました。 対象となる工事案件で、主任技術者として配置できるからです。

配置できる人がいなければ、その案件は受けられません。つまり会社にとって直接お金になる資格ということですね。会社によっては合格時に祝い金が出るところもあるようです。

※どの資格が必要かは、工事か業務委託か、発注条件、求められる技術者の要件によって変わります。

【資格】必要な免許と、取っていく順番

まず運転免許。区分は会社の車両次第

意外かもしれませんが、この仕事でまず要るのは運転免許です。高圧洗浄車・吸引車・テレビカメラ車といった作業車両を運転して現場へ行くからです。

当時の勤務先で求められたのは中型(4t以上)でした。 ただし必要な区分は会社が持っている車両の総重量・最大積載量によって変わります。 準中型で足りる会社もありますし、大型が要る会社もあります。求人を見るときは「どの区分が必要か」「入社後の取得支援があるか」を確認してください。

未経験なら最初に狙う資格

  • 下水道管路管理専門技士(日本下水道管路管理業協会/清掃・調査・改築の部門別)
  • 2級土木施工管理技士(国家資格)

私が実際に取った順番

  1. 日本下水道事業団「下水道管理技術認定試験」 (管路施設)
  2. 日本下水道管路管理業協会「下水道管路管理専門技士」(清掃・調査・改築)
  3. 2級土木施工管理技士
  4. 2級管工事施工管理技士
  5. 日本下水道管路管理業協会「下水道管路管理主任技士」
  6. 1級土木施工管理技士補
  7. 1級管工事施工管理技士補

※下水道関係の資格は実施団体が分かれています。「下水道管理技術認定試験」は日本下水道事業団、「下水道管路管理専門技士・主任技士」は日本下水道管路管理業協会が実施しています。区分や受験資格は年度で変わることがあるので、受験を検討される際は各実施団体の公式サイトでご確認ください。

業界資格から入って国家資格へ、というのが自然な流れでした。1級管工事施工管理技士の第一次検定については、1回落ちてから独学2週間で受かった話を別記事に書いています。

【向いている人・向かない人】

続いていたのは、コミュニケーションが取れる人

この仕事は必ずチームで動きます。 なのでコミュニケーション能力がある人は続きやすいと思います。ひとりで黙々と、というタイプの仕事ではありません。

辞めていく人の共通点

  • 体力がない。 慣れない仕事でいきなり疲れてしまう
  • 気持ちが続かない。 気が張る仕事なので、この仕事をやっていくという気持ちの強さがないと切れてしまう

「この仕事でよかった」と思えた瞬間

やりがいを感じるのは、困っている人の問題を解決して感謝されたときです。個人のお宅なら家の排水管、官公庁なら公共下水道。誰もがやる仕事ではないぶん、直せる人が来たときの安心感は大きいのだと思います。

【業界の今後】八潮の事故後、制度は実際に動いた

2025年1月の埼玉県八潮市の道路陥没事故は、業界にとっても大きな出来事でした。下水道は文字どおり「見えないもの」に蓋をしてきた結果、起きてしまった事故とも言えます。

当時の私は「今後、維持管理のルールは必ず変わるだろう」と考えていました。そして実際に法律が動きました。

2026年7月15日、改正下水道法が成立

八潮市の事故を受けた改正で、主な内容は次のとおりです。

  • 管の腐食や損傷の状況から安全性を4段階で評価する基準を法制化(緊急措置/早期措置/要監視/健全)
  • 評価結果と対策の公表を自治体に義務付け
  • 硫化水素による腐食のおそれが高い場所は点検頻度を強化(政省令改正で、現行の「5年に1回以上」から「3年に1回以上」などとする方向)
  • 公布から6か月以内に施行

※従来の「5年に1回」は、すべての下水管ではなく腐食のおそれが大きい箇所を対象とした法定点検です。(2026年7月時点の情報。詳細は今後の政省令で決まります)

現場の仕事という目線で言えば、点検・調査の回数が増え、対応までのスピードが求められるようになるということです。人手が足りていない業界で仕事量が増えるので、働き手にとっては追い風だと思います。

人手不足の実感

現場にいて感じていたのは、この2つです。

  • 現場はあっても人が足りない
  • 直したくてもお金が足りない

だからこそ省人化と低コスト化は避けられません。 ドローンをはじめとする新しい調査技術に期待したいところです。

※八潮市の事故そのものについては、現場の数字から読み解いた記事を別に書いています。

【転職を考えている人へ】この経験はどこで活きるか

私は2026年に建設コンサルタント業界へ転職しました。その経験から書きます。

活きたのは「官公庁のルールを知っていること」

建設コンサル業界も会社ごとに得手不得手がありますが、いちばん活きたのは官公庁の仕事を知っていることでした。発注の流れ、書類の作法、年度のリズム。こうしたルールを体で知っているのは強みになります。下水道を扱っているコンサルなら、なお最高だと思います。

「潰しが効かない」のか?

確かにまったくの他業種へ行くのは難しいかもしれません。 ただ同業他社ならいくらでも人手を欲しがっているので、潰しが効かないということはないんじゃないかな、と思っています。

転職の実際の流れ(使ったサービスや面接で聞かれたこと)は下水道維持管理から建設コンサルへ転職した話に書いています。今の経験がどこで評価されるのかを知りたい方は、こちらもどうぞ。

よくある質問

Q. 未経験でも入れますか?

入れます。人手が足りていないので入り口は広いです。ただし運転免許は必要になることが多いので、求人票で必要な区分を確認してください。

Q. 体力に自信がないと厳しいですか?

管内に入る作業がある以上、体力はあったほうがいいです。辞めていく方の理由でいちばん多かったのも体力面でした。ただし現場作業だけでなく、積算や書類の仕事もあります。

Q. 女性でも働けますか?

私がいた会社は少人数で現場中心だったため、この点について語れるだけの経験がありません。会社によって配属や設備が大きく違うので、面接で直接確認するのが確実だと思います。

Q. 資格は入社前に取っておくべきですか?

必須ではありませんが、2級土木施工管理技士があると入社後の動きやすさが変わります。入社してから取る人がほとんどでした。

Q. 臭いには慣れますか?

ある程度は慣れます。ただし伏越しの清掃のような現場は、慣れとは別次元です(笑)

【まとめ】これから目指す人へ

きつい面は確かにあります。24時間365日の緊急対応、繁忙期は休みがなくなる。制度上の年間休日は120日でも、実際に休めたのは60〜65日ほどでした。4K(危険・汚い・きつい・厳しい)と言われる要素は、実感としてありました。

それでも、手に職がつき、資格がそのまま価値になり、需要は増えている仕事です。改正下水道法で点検や公表の義務が強まる以上、この先も仕事はなくなりません。

もし目指すなら、まずは運転免許。そこから下水道管路管理専門技士2級土木施工管理技士を狙っていくのが、いちばん素直なルートだと思います。

この記事が、下水道の仕事を知りたい方の参考になれば嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました😊

ABOUT ME
HACHIYA
Gadget Esprit運営者。東海地方在住の40代。下水道維持管理会社で官公庁向けの営業(見積・積算・入札)に受注した業務の施工管理(現場代理人・主任技術者)を担当していましたが、2026年に建設コンサルタント業界へ転職しました。1級管工事施工管理技士は第一次検定に合格しています(第二次検定は未受験)。趣味はランニング・ゴルフ・ガジェット。実際に購入・使用・体験した内容を中心に、良い点も気になる点も正直に書いています。