PR|当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。This site uses affiliate links. We may earn a commission at no extra cost to you.

2025年1月29日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故。連日ニュースで報道され、下水道の維持管理に注目が集まりました。

私は当時、公共下水道の維持管理業界で働いていました。この記事では、現場を知っている立場から、あの事故を数字で読み解いてみます。ニュースでは触れられない「なぜあそこまでの規模になったのか」という部分です。

埼玉県八潮市で1月29日に発生した道路陥没事故で、このブログを書いている今日現在も救助活動が行われています。

この事故が発生したことにより地下構造物の維持管理について、特に下水道維持管理という部分に注目が集まり、全国で緊急点検調査が行われている様子がテレビニュースでも報道されているのを皆さん御覧になられているかもしれません。

【HACHIYA私見】

このブログサイト管理人、HACHIYAも道路上に埋設されている公共下水道事業の維持管理業界で働く人間として、地下構造物の腐食・破損もしくは浸入水による土砂引き込みの道路陥没は身近な話ではありますが、そのほとんどは埋設深さの浅い場所(住宅の排水管から下水道本管への接続部分)が発生箇所であり、ここまで深い埋設施設の影響で地上部までが空洞になるような道路陥没は全く想像できませんでした。

なぜなら地中の土砂が下水道管内へ流れ込むと言うことは、下水道管内に土砂が堆積していくことになり、事故発生時の穴の大きさ直径10mに流域下水道までの深さ15mの体積を計算すると約1,100㎥の土砂が管内に入ってきたことになります。

これだけの土砂が管内へ流れ込めば道路陥没は当然ですが、先に下水道管内が流入土砂で閉塞して流下不能状態になってもおかしくありません。事前に管内調査が行われ腐食状態が報告されていたとも伝えられていますが、対応は簡単ではなかったはずです。

理由は、人が管の中に入れるかどうかです。私が現場にいた当時、下水道管内で人が安全に作業できる目安として『水位400mm以下・流速0.7m/s以下』という条件で判断していました。これを超えると、入った人間が汚水に流されます。

八潮市の流域下水道が実際にどれくらいの水位だったのかを、私は公表資料で確認できていません。ただφ4,750mmという規模の管渠で、常時この条件を満たしているとは考えにくいと思います。ここから先は私の推測ですが、人が入って直すという前提そのものが取りにくく、補修方法を見つけるのは簡単ではなかっただろうと考えています。

【下水道の仕組み】

公共下水道は家庭や工場から排水されφ150〜300mmの下水道本管を基本自然流下方式(勾配が取れない場合はポンプで送り出す圧送方式もある)で流され、排水量が増えるごとに管径が大きくなっていき最後に下水道処理場へ辿り着き、そこで微生物や薬品で水処理を行い水質改善し河川に流される仕組みになります。

公共下水道の流れ。家庭からの排水は本管を通って処理場へ向かいます。

【下水道維持管理業の仕事】

私も前職では下水道管路調査で流域下水道に入っていましたが、管径は大きくてもφ3,000mmぐらいまでで、今回のφ4,750mmという大きさは聞いたことがありませんでした。自分の見識以上に腐食が進む環境なのかもしれません。

【下水道維持管理業の印象】

普段見ることができず意識することのできない地下構造物の維持管理に対して、今回の事故でクローズアップされ報道しておりますが、下水道維持管理業は正直言って「危険(有毒ガスや酸素欠乏状態)・汚い(生活排水や工業排水)・キツイ(暑い・寒い)・厳しい(作業理解・給料等)」の典型的な4K以上の業界で人材確保は当然のように難しいです。人手不足がさらなる従業員の負担になるため愚痴を含めれば4Kどころか10Kまで届きそうです。

企業説明会で下水道管内に入って調査する仕事と話をすれば学生に『下水道に入るなんてクレイジーですね』と言われたとか、若手社員から『人間のやる仕事じゃない』なんて言われたとか、まぁ同業内で面白可笑しく話してますが(笑)

お金積まれてもやりたくない仕事を世間平均以下の給与で働く業界という印象です。

【下水道維持管理業界の将来】

それでも下水道法という法律が1958年4月24日に公布され、下水道の整備を行い、都市の健全な発達、公衆衛生の向上および公共用水域の水質保全を図ることを目的として発展してきた重要な生活インフラになりますので、この先も下水道事業の維持管理は無くてはならない仕事として残り続けると思います。

残り続けていく中で一番大きな問題は人材不足があり、民間事業者は上記のとおり人材不足が深刻で、管理者として自治体職員は配置人員の削減と人事異動による知識や経験の継承が薄いので下水道事業がおざなりになってしまう傾向が強いということです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

※この記事は2025年2月、まだ下水道維持管理の会社に在籍していたときに書いたものです。事故の調査や対応はその後も進んでいるはずなので、最新の状況は公的機関の発表をご確認ください。私自身は2026年に建設コンサルタント業界へ転職しました。本文中の「現場」は前職でのことです。

下水道の維持管理事業ってなんだろうという疑問の一助になれば幸いです。

ABOUT ME
HACHIYA
Gadget Esprit運営者。東海地方在住の40代。下水道維持管理会社で官公庁向けの営業(見積・積算・入札)と、受注した業務の施工管理(現場代理人・主任技術者)を担当していましたが、2026年に建設コンサルタント業界へ転職しました。1級管工事施工管理技士は第一次検定に合格しています(第二次検定は未受験)。趣味はランニング・ゴルフ・ガジェット。実際に購入・使用・体験した内容を中心に、良い点も気になる点も同じだけ書いています。